前回、カートリッジを使った両用式万年筆の使い方をご紹介したのですが、今回は吸入式万年筆の使い方についてです。
初めて吸入式万年筆を使う方や、本格的に吸入式万年筆を使ってみたいけど、使えるかな?と迷っている方などのお役に立てると嬉しいです。
吸入式万年筆の代表はペリカンとモンブラン、パイロットのヘリテイジ
吸入式万年筆は、インクを吸入する機構が万年筆本体と一体化している万年筆の呼び方です。
代表的な吸入式万年筆は3つ ※このリンクは公式です。アフィリエイトではありません
ペリカンのスーベレーンシリーズは、大きさ違いでM300,M400,M600,M800とバリエーションがありますが、全て吸入式万年筆です。
モンブランのマイスターシュテュックは、私の持っている145はコンバーターやカートリッジが使える両用式です。それより大きな146や149は吸入式になります。
パイロットは、カスタムシリーズを含め、多くの万年筆が両用式なのですが、ヘリテイジ92は吸入式です。
吸入式万年筆のメリットはインクがたくさん入ること!
コンバーターやカートリッジで使う両用式万年筆に比べて、吸入式万年筆はたくさんのインクを吸うことが出きるので、たくさん書く方にはぴったりです。
また、インクを吸入するプロセスは「私、万年筆つかってる」という満足感を増してくれます。もちろんコンバーターでもインクを吸うのですが、尻軸を直接回す感じが、万年筆使っている自分に酔いしれるにはぴったりです。
デメリットといえば、どれくらいインクが残っているのかわからないこと。
ただ、パイロットのカスタムヘリテイジはスケルトンなのでインク残量はまるっと見えます。気になる方はスケルトンタイプを選ぶといいですね。
モンブランのマイスターシュテュック149にはインク窓がついていますので、黒軸でもインクが減ってきたらわかります。
レギュラー品のペリカンスーベレーンにはインク窓がありません。でも、私は長年ペリカンM400ホワイトトートイスを使っていますが、光の加減で中のインクがうっすら見えます。
それに、万年筆はを使い続けていたら軸の重みでインクの減りがわかるようになりました。
インクの残量が見えないデメリットはそんなに大きくないと思います。
吸引式万年筆のインク吸引方法
用意するものは3つ
- 万年筆
- ボトルインク
- いらない布かキッチンペーパー、あればキムワイプ
先日、修理から戻ったペリカン スーベレーンM101Nトータスシェルブラウンを見本にご説明。
①万年筆の尻軸を反時計回りに回してゆるめて、中のピストン機構を下げます。
写真のグリーンのインク窓のところに黒い軸とゴムみたいなものが見えていますが(左の黄色い〇)、吸入機構を下げている途中の写真です。尻軸のネジがゆるんでいるのもわかりますよね。(右の黄色い〇)ネジが止まるまでゆるめます。
②インク瓶に万年筆のペン先(ニブ)をどっぷりいれます。
金色のペン先が見えなくなるまでインクにいれてください。インクに先しか使っていないと、ちゃんと吸入できません。
どっぷりつけた状態で、尻軸のねじを時計回りに締めます。連動してピストンが上がってきます。写真のとおり、グリーンのインク窓にピストンが見えてきました。
③そのまま最後までねじを締め続けます
インクが吸引されて、インク窓には吸い上げたインクが黒っぽく見えています。
ネジが止まるところまで締めたらインク窓が埋まって軸の上までインクが入ります。
これで終わり、ではありません。
インク瓶からそっと出して、尻軸をゆるめてペン先から1~2滴でよいのでインクを落としてください。
ペン先を上に向けて尻軸を締めたら吸入はおしまい。インク窓にはインクと空気が見えています。
ニブや首軸にインクが付いているのが見えるでしょうか。どっぷりつけるので、これくらいインクが付きます。いらない柔らかい布でペン先や首軸についた余分なインクを拭いてください。
この時、ティッシュを使ってもよいのですが、繊維がペン先の切り割り(スリット部分)等に入りやすいので、キッチンペーパーの方がおすすめです。きれいに拭いたら完成です。
吸入式万年筆は、インクをいれたらすぐに書き始められる
カートリッジを初めて、あるいは久しぶりに使う万年筆にセットすると、インクが降りてきてペン芯に馴染むまで時間がかかることがあります。
その点、吸入式万年筆やコンバーターわ使うと、ペン先側からインクを吸い込むので、吸入の過程でペン芯にインクが馴染んで、すぐに書き出すことができます。
お急ぎのときは、吸入式かコンバーターがいいですね。
吸入式万年筆へのインク吸入は慣れてしまえば簡単!
たっぷりインクを吸い込んだ万年筆で、思う存分書けますよ。
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