初心者さんでも簡単。両用式万年筆のお手入れ方法

万年筆

初めて万年筆を使いたいな、と思う方にとって気になるのがお手入れだと思います。私も購入時にはいろいろと検索したものです。というのも、使い方やお手入れが悪いと書けなくなる、みたいなことを小耳にはさんだから。

でも実際に自分が10年以上つかってお手入れが難しいと思ったことはありません。

万年筆ってどうやってお手入れするの?、お手入れって難しい?と疑問に思っている方の参考になれば嬉しいです。

同じインクを使い続けるならお手入れはいらない

最初に結論をお伝えすると、同じインクを使い続けて、調子が良いのであればお手入れは不要です。むしろ絶好調に使えているなら、同じインクを入れ続けてがんがん使いましょう。

万年筆は「使い続けること」が一番大事、と聞いたことがあるかもしれません。使い続ける、といっても毎日必ず書かなくちゃいけないほどではありません。もちろん毎日使えるならそれは理想的ですが、そんなに神経質に考えずに一週間に一度、とかでも全然大丈夫です。

同じインクを使い続ける、というのも万年筆のために良いことと言われています。究極的にはそうなのだと思うのですが、もうちょっと気楽に考えて、インクを変えたくなったら洗浄して使っても全然大丈夫だと思います。

調子が悪い時、インクを変えたいときは洗浄しよう

UnsplashSean Quillenが撮影した写真

万年筆の調子が悪いとき、というのがあります。書き出す時にスムーズにインクがでないとか、インクの出が悪くて書いている途中にスキップしてしまう、といった場合です。そういう時に考えられる理由は3つ。

  • ペン先にトラブルがあるとき
  • ずっと使っていなかったなどでインクが詰まってしまったとき
  • 万年筆とインクの相性が良くないとき

ペン先が曲がったりずれたりするトラブルは残念ながら洗浄ではどうにもなりません。

インク詰まりやインクとの相性の方は、洗浄したりインクを変えれば解決する可能性があります。

インク詰まりの場合は、詰まっているインクがどのインクなのかがわかると、そのあとのお手入れがしやすくなります。

相性の良くないインクですが、相性って何?と思いますよね。ほかの筆記具で「相性」なんて言いませんし。

万年筆はペン先やペン芯と言われるインクをペン先に届ける大事なパーツの形状や素材の関係や、万年筆の構造そのものとの兼ね合いで、万年筆インクの相性というものがうまれます。

両用式万年筆のお手入れにあると便利なアイテム

お手入れに必要なアイテムはコップと、化粧品などを移し替える用のコスメティックスポイトという注射器です。

コップはなんでもよいのですが、洗浄できているか見えるように透明のものがおすすめです。

万年筆を洗う手順を写真で解説

まず、コンバーターを入れて使いおわった万年筆の胴軸を外します。

空のコンバーターがついた万年筆

コンバーターを首軸から抜きます。

万年筆からコンバーターを抜いたところ

水を入れたコップにペン先のついた首軸を入れます。写真はコップが小さいのですが、それでも洗浄はできます。すっぽり水の中につかる方がより良いと思います。

水を入れたコップに首軸を入れます。(ちょっとコップが小さかった…)

万年筆を水につけるとインクが出てきます。水が透明になるまで、何度か水を変えてください。写真は水を変えて3回目くらいですが、まだまだインクの色素がでてきていますね。

水が透明になったら、柔らかい布で拭いて完全に乾かしてください。ティッシュはペン先に紙の繊維が入ったりするので、布の方がおすすめです。

万年筆好きの方は、繊維が出にくいので、実験などに使われる「キムワイプ」を使う方もいますよ。

今回説明に使ったラミーのサファリは、初心者さんにオススメの万年筆です。

キレイにならなかったらどうする?

例えば、長年放置された万年筆でインクが固まってしまった場合、ペン先がきれいに見えてもペン芯というパーツなどにインクのカスが溜まっていることもあります。

お水に入れてもキレイにならない場合、ぬるま湯に変えてみてください。一晩いれっぱなしにしても大丈夫です。

注意点として使っているインクが水に強い【顔料インク】の場合は専用のクリーナーが必要です。プラチナ万年筆のクリーナーは顔料インクにも染料インクにも使えます。

使っているインクが【古典インク/没食子もっしょくしインク】あるいは【古典ブルーブラック/古典BB】と言われるインクの場合は、アスコルビン酸(ビタミンC)を使って汚れを落とす(還元する)別の方法があります。

古典BBについては、万年筆好きの方で知らない人はいない、がりぃさんのブログがこれ以上ないほど詳しいです。アスコルビン酸による洗浄についてのページもありますのでご覧ください。

使い終わったカートリッジも洗ってとっておこう

コスメ詰め替え用の注射器はどこで使うの?と思った方、お待たせしました。

使い終わったカートリッジですが、もちろん捨ててもよいのですが、何個かは洗ってとっておくと便利です。コンバーターがなくても、使い終わったカートリッジにインクを詰めて再利用することができるんです。(再利用はメーカー推奨ではないので自己責任でお願いします)

コップに水をいれたら注射器で吸い上げ、先をカートリッジに入れてカートリッジに水を注入します。インクの溶けた水が出てくるので、きれいな水を注射器に入れて→カートリッジに注入を透明になるまで繰り返します。

カートリッジの中のお水がきれいになったら、注射器で吸い出して、完全に乾かして完成です。

万年筆のお手入れって頻繁にするものでもないし、意外と簡単です。

染料インクを使っている万年筆なら水かお湯だけでお手入れできるので、調子がいまいちだなと思ったらやってみてください。

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